

Vol.17
先輩後輩を超えて学び合う
環境で得た大切なこととは?
今回お話を伺ったのは、京都大学医学部附属病院に研修医として勤務する縞田先生と織先生。臨床で多くを学ぶとともに、研修医同士でも切磋琢磨し、成長を遂げています。そうした日々で学んだことについて、語り合っていただきました。
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縞田 一輝 先生
京都大学医学部附属病院 初期研修2年目
Profile
高校時代に母親が病気になった時、家族に医療者がいれば役に立てると思い、文系から一転して医師を志した。多趣味だが、今は筋トレにハマり中。忙しい中、週5でジムに通い、鍛えている。
1日のスケジュール(ICUローテ中の)
- 6時
- 起床 ジムでトレーニング・ウォーキング
- 8時
- 出勤
- 8時15分~10時
- 全体回診 担当患者さんのトレンドを把握して回診でプレゼンします。
- 11時~16時
- CVなどの手技を経験したり、エコーで評価してアセスメントを立てたりします。自分でしっかりと考えて実践することでとても力がつきます!指導医の先生方は優しく、自由に考えさせてくれて、丁寧にフィードバックをくださります。その他、カルテ記載、ICU緊急入室への対応など。途中で昼食をとります。
- 16時
- 夕方の回診 1日で行ったことを共有します。
- 17時~18時
- 業務後は腹腔鏡の自主練をしてから帰るよう心がけています。
- 19時
- 帰宅 夕食
- 20時~
- 勉強したり、弁当のおかずを作り置きしたり、飲み会したり。
- 25時
- 就寝
縞田 一輝
先生
京都大学医学部
附属病院
初期研修2年目
Profile
高校時代に母親が病気になった時、家族に医療者がいれば役に立てると思い、文系から一転して医師を志した。多趣味だが、今は筋トレにハマり中。忙しい中、週5でジムに通い、鍛えている。
1日のスケジュール(消化器内科ローテ)
- 6時
- 起床 ジムでトレーニング・ウォーキング
- 8時
- 出勤
- 8時15分~10時
- 全体回診 担当患者さんのトレンドを把握して回診でプレゼンします。
- 11時~16時
- CVなどの手技を経験したり、エコーで評価してアセスメントを立てたりします。自分でしっかりと考えて実践することでとても力がつきます!指導医の先生方は優しく、自由に考えさせてくれて、丁寧にフィードバックをくださります。その他、カルテ記載、ICU緊急入室への対応など。途中で昼食をとります。
- 16時
- 夕方の回診 1日で行ったことを共有します。
- 17時~18時
- 業務後は腹腔鏡の自主練をしてから帰るよう心がけています。
- 19時
- 帰宅 夕食
- 20時~
- 勉強したり、弁当のおかずを作り置きしたり、飲み会したり。
- 25時
- 就寝
織 優月 先生
京都大学医学部附属病院 初期研修1年目
Profile
「患者さんの命はもちろん人生にも寄り添える」医師に憧れて、医療の道へ。大学から引き続き卒業後もオーケストラに所属、楽器はヴァイオリン。2月の演奏会に向けて練習を重ねている。
1日のスケジュール(循環器内科)
- 6時半
- 起床
- 8時
- カンファレンス
- 9時
- 回診、病棟業務、カテーテル見学
- 12時
- 昼食
- 12時45分
- カルテ記載、緊急受診対応
- 17時
- 勉強会
- 18時
- 帰宅、夕食(自炊したり友達と外食したり)
- 20時半
- ドラマ鑑賞など
- 22時
- 入浴
- 23時半
- 就寝
織 優月
先生
京都大学医学部
附属病院
初期研修1年目
Profile
「患者さんの命はもちろん人生にも寄り添える」医師に憧れて、医療の道へ。大学から引き続き卒業後もオーケストラに所属、楽器はヴァイオリン。2月の演奏会に向けて練習を重ねている。
1日のスケジュール(救急科ローテ)
- 6時半
- 起床
- 8時
- カンファレンス
- 9時
- 回診、病棟業務、カテーテル見学
- 12時
- 昼食
- 12時45分
- カルテ記載、緊急受診対応
- 17時
- 勉強会
- 18時
- 帰宅、夕食(自炊したり友達と外食したり)
- 20時半
- ドラマ鑑賞など
- 22時
- 入浴
- 23時半
- 就寝

患者さんとカルテが一番の教科書
臨床から学ぶ大切さ
縞田先生(以下:敬称略):
医学部では女性ヘルスケア分野に興味を持ち、研究に取り組みました。研究室で指導を受けた先生や病院実習でお世話になった先生に引き続き教えを請いたいと思い、当院での研修を決めました。
織先生(以下:敬称略):
私は内科医を志望しています。当院なら、内科の最先端技術を学べると思ったことが、研修先に選んだ理由の一つです。何より病院を見学した時、先生方が非常に熱心に指導されている姿や研修医の方々がイキイキと働いている姿を見て、「こんな病院で働きたい」と思ったことが、決め手になりました。
縞田:
研修 1年目、最初のローテーションで救急科に配属された時のことは忘れられません。交通事故で救急搬送されてきた患者さんのファーストタッチを任されたのですが、何をどう尋ねたらいいのか、どこを診ればいいのかもわからず、ただ呆然と立ち尽くすばかりでした。ペーパーテストや病院実習と、臨床との違いを実感し、身の引き締まる思いがしました。
織:
私は腎臓内科からスタートしました。最初は、処方の仕方やカルテの書き方など、病棟業務のすべてがわからないことばかりで、慣れるまでに時間がかかりました。助けられたのが、同期の仲間の存在です。同じローテーションを回る同期と、相談し合ったり励まし合ったりすることで、難しいことも楽しみながら乗り切れています。
縞田:
最初は悩むことばかりですよね。研修を始めて間もない頃、悩みを相談した救急の先生に、「一番の教科書は、患者さんとカルテだ」と言われたことはよく覚えています。詰め込んできた知識で頭がいっぱいになっていた時に、改めて臨床から学ぶ大切さを教わりました。
織:
私が難しいと思ったのは、思わしくない結果を患者さんに伝える時です。上級医の先生に相談したら、「診察や検査の結果は正確に伝えながらも、患者さんが治療と向き合えるよう、前向きな言葉で説明しなさい」とアドバイスいただきました。以来患者さんに声をかける時には、いつもその言葉を思い出しています。
学び合う環境が力になる
研修2年目による勉強会を開催
縞田:
臨床に携わり、やりがいを感じることもたくさんあります。血液内科の研修で、長期にわたって入院されている患者さんを担当した時のことです。2ヵ月間、毎日病棟に足を運び、患者さんの話を聞いて病状や小さな変化を見逃さないよう心がけていました。ローテーションの最終日、患者さんに挨拶に行ったら、「縞田先生が、患者ではなく一人の人間として接してくださったことがありがたかった」と言ってくださったのです。患者さんに真摯に向き合ったことが報われた気がして、思わず嬉し涙が溢れました。
織:
私も、抗がん剤治療を受けている患者さんを担当した時、患者さんから「先生が毎日励ましてくれたおかげで、苦しい副作用とも戦えました」と言われたことが心に残っています。少しでも患者さんの力になれたことが嬉しかったと同時に、患者さんと信頼関係を築く大切さを学びました。
縞田:
研修 2年目の私たちが、後輩たちに学んできたことを教えられたらと思い、有志を集めて今年 5月から勉強会を始めました。今はまだ1年目の研修医がどのようなことを知りたいのかを模索しながら進めていますが、後輩に教えることが、私自身の学びにもなっています。
織:
私も参加しています。上級医の先生に教わることもたくさんありますが、勉強会では、次の日から使えるような研修医の視点に立った即戦的なことを学べるので、とても勉強になっています。
縞田:
そう言ってもらえると、頑張って実施している甲斐があります。京都府医師会の研修も、勉強になると伺っています。中でも最前線で活躍するドクターによるセミナーを先輩に勧められ、ぜひ受講したいと思っています。
織:
私は新研修医総合オリエンテーションに参加しました。研修が始まる前で不安もありましたが、同じ京都で働く同期と話して、心強く感じました。
縞田:
私が目指す産婦人科は、手術や出産も含め幅広い医療に関わる診療科です。今後、まずは産婦人科医としてしっかり力をつけたい。その上で、いずれは総合内科の知識・技量も磨きたいと思っています。
織:
私は内科の中でも腎臓内科医を目指しています。患者さんの全身を総合的に診られるジェネラリストになることが目標です。




「安全で質の高い医療」の実践を通して、広い視野を獲得できる研修
京都大学の「自由な学風」を体感しつつ、高度かつ専門性の高い医療を実践する大学病院での研修を基本としています。それに加えて、より一般的な疾患も十分に学べる環境として、地域医療やたすきがけの研修先となる多くの医療機関と連携して研修を行っています。様々な働き方やキャリアを持つ医師がいること実感していただけるでしょう。皆さんの将来のキャリア形成のヒントがここにあります。


Re-1グランプリ2024を開催!
司会:大阿久 達郎 氏(京丹後市立弥栄病院)/ 松原 慎 氏(京都府立医科大学)
コメンテーター:片岡 仁美氏(京都大学医学研究科 医学教育・国際化推進センター 教授)/ 瀧上 雅雄氏(京都第二赤十字病院 循環器内科/Re-1グランプリ2023優勝)
9月29日(日)に開催された第50回京都医学会で「Re-1グランプリ2024」を開催しました。
Re-1グランプリは“京都府が誇るエース指導医が〇〇を学び直してみた(Re-education)”をテーマに、教育のみならず、若手指導医自身が学び直しを行う企画です。立ち見がでるほど好評だった前回に引き続き、多くの勤務医、開業医、医学生で満員となった会場は、情熱あふれる指導医たちのレクチャー合戦で熱気に包まれました。
オンライン投票による“最もよかったレクチャーを行った最強指導医”には京都済生会病院の原将之先生が選ばれ、「教育情熱賞」が贈られました。7名の人気指導医による密度の濃いレクチャーはKMA.comサイトよりご覧いただけます!
『KMA.com』にはだれでも無料で登録できますので、この機会にぜひご登録ください!

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