

Vol.20
多様な診療科と連携し
その中核として患者を救う総合内科医
1つの臓器専門科に留まらず、患者さん全体を診る総合内科医とて、多くの臨床現場を経験してきた堀田先生。2025年8月、京都府立医科大学附属病院から京都医療センターの総合内科に赴任。ますます総合内科医の仕事に情熱を燃やす堀田先生に、やりがいや目標を伺った。
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堀田 亘馬 先生
京都医療センター 総合内科
(医師10年目)
Profile
2016年京都府立医科大学卒業。麻生飯塚病院にて初期研修を修了後、2018年より同病院総合診療科専攻医(内科専門医)。
2020年に総合診療科チーフレジデントを務め、ベスト後期研修医賞を受賞。
2021年より愛仁会高槻病院総合内科、2022年より洛和会音羽病院感染症科に所属。
2023年からは同院感染症科/ICU・CCUに従事。2024 年度に洛和会病院グループベスト指導医賞を受賞。
2025年1月から大阪大学医学部附属病院感染制御部を経て、同年4月より京都府立医科大学総合医療・地域医療学教室に所属し、同年8月より現職。
堀田 亘馬
先生
京都医療センター
総合内科(医師10年目)
Profile
2016年京都府立医科大学卒業。麻生飯塚病院にて初期研修を修了後、2018年より同病院総合診療科専攻医(内科専門医)。
2020年に総合診療科チーフレジデントを務め、ベスト後期研修医賞を受賞。
2021年より愛仁会高槻病院総合内科、2022年より洛和会音羽病院感染症科に所属。
2023年からは同院感染症科/ICU・CCUに従事。2024 年度に洛和会病院グループベスト指導医賞を受賞。
2025年1月から大阪大学医学部附属病院感染制御部を経て、同年4月より京都府立医科大学総合医療・地域医療学教室に所属し、同年8月より現職。

患者さん全体を診る総合内科医を志望
医師である父と兄の影響で、小さい頃から医師の仕事を身近に感じていました。自分も医師になろうと決めたのは、高校3年生の時です。進路に迷っていた時、「医師は一生続けられるやりがいのある仕事だから、良いよ」という父の言葉が決め手になり、医学部を志望しました。
大学時代から「1つの臓器専門科に留まらず、何でも診られる医師になりたい」と考えており、特に関心を持ったのが患者さんの全体を診ることができる総合内科です。卒業後、福岡県にある飯塚病院での初期研修で実際に総合診療科で幅広く内科を経験し、その診療科への思いを強くしました。
初期研修で思い出に残っているのは、意欲溢れる同期の仲間と切磋琢磨したことです。欠勤などで当直の枠が空いたら、誰もが我先にと名乗りを上げ、同期の間で当直の争奪戦が起こることもしばしば。同じ情熱を持った仲間と研鑽を積む日々は、とても楽しかったです。
とりわけお世話になったのが、初期研修医として働き始めた時の最初の指導医の先輩でした。医師としての心構えから治療に対する考え方、患者さんとの接し方まで、医師に必要なすべての基礎を教わりました。中でも感銘を受けたのが、どれほど優秀でも決して慢心せず、常に謙虚に努力し続ける姿勢です。研修を終える時、「先生の下で学べて良かったです。私もいつか後輩にそう言ってもらえる指導医になりたいです」と伝えたことを覚えています。その数年後、私自身が指導医となって研修医を指導し、最後に同じことを言ってもらえた時は、本当にうれしかったです。
1つの専門科だけでは診られない患者を一手に担う
後期研修で3年間内科を専攻した後、総合内科をはじめICUや感染症科で勤務してきました。ICUでは、患者さんの血圧が急に下がったり、急速に呼吸不全が進行するなど、緊迫した状況に直面することも少なくありません。現場に緊張が走り、慌ただしくなるほど集中力が
高まります。容体が急変した患者さんに介入し、病状が好転したり命の危機を脱した時には、安堵とともに大きなやりがいを感じました。
総合内科では、多疾患併存といわれる複数の疾患を同時に持っている患者さんを数多く担当してきました。1つの専門科だけでは診ることのできない患者さんを一手に引き受け、中核となって多様な診療科をつなぎながら、すべてのプロブレムを取りこぼさずに治療する。そこに総合内科医の役割の大きさを実感し、病棟診療、外来診療ともに大きなやりがいを感じています。
医師になったばかりの頃は、他の診療科とうまく連携できずに苦心したこともありましたが、年次が上がるにつれて他科の医師とうまく連携して診療にあたる場面が増えてきました。
また感染症も全身の臓器にまたがる疾患で、感染症科は他の診療科と関わることが多いです。さまざまな診療科の先生から相談をいただき、協力しながら診療にあたるところに面白さとやりがいを感じます。


生涯勉強と肝に銘じ、研鑽を続けてほしい
私の中での「良い医師」の条件の中には、臨床現場で正解のない状況で、後から振り返ってもその場で最善であったと思われる選択ができること、切迫した場面で瞬時にその場その場で的確な判断ができること、があります。AIが急激に発展し、近い将来AIが診断できる時代が来るかもしれません。しかし目の前の状況全体を診て、病気だけでなく、患者さんの気持ちや背景、ご家族の気持ちなど言語化できないところも含めた「最善」を選択できることこそ、医師として価値があることであると考えています。
現在は、臨床医として勤務しながら、米国内科学会(ACP)日本支部のECPC(Early Career Physicians Committee)で委員長としても活動しています。今後は、病院内で総合内科医として活躍する「ホスピタリスト(病院総合医)」を全国に増やしていくための啓発・育成活動にも力を注いでいきたいです。この度赴任した京都医療センターでも、総合内科医を志す若い医師にトレーニングを積みたい、働きたいと思われるような体制をつくることに尽力したいと思っています。特に研修医あるいは若手の先生で総合内科に興味をもつ先生が増えてほしいと思っていますし、一緒に働く仲間を募集中です!
京都府医師会では「若手医師ワーキンググループ」に所属し、屋根瓦塾の講師なども務めています。屋根瓦塾は、病院を超えて同期と横のつながりを築き、互いにモチベーションを保ちながら学んでいける良い機会です。医療は進化し続けており、学びに終わりはありません。生涯勉強し続けなければならないのが、医師という仕事。後輩の皆さんもそれを肝に銘じ、研鑽し続けてほしいですね。
屋根瓦塾 裏話
屋根瓦塾は、京都府下の若手医師が研修医を教え、その研修
医がやがてスタッフとなったときに研修医を教えていく、というも
のです。研修医にとって有益な、学びになる勉強会であることは
間違いないのですが、若手医師スタッフにとっても大きなメリット
があるのが、この屋根瓦塾の特徴です。
- 言語化して教えることにより、実はあいまいだった知識が整理されていく
- 我流で教えていたのを、他の教え上手な若手医師の教え方を見ることでより洗練された教え方を身につけることができる
- スタッフ同士の病院を超えた横のつながりを作る機会になる
- ブースリーダーをブース最年長ではない比較的若い先生が任命されることにより、リーダーでありながら中間管理職を担う経験を早くからできる
など、メリットが盛りだくさんです。
毎年、医師3年目の先生が不安と期待を胸に多数スタッフとし
て参加してくださり口をそろえて参加してよかった、とおっしゃい
ます。若手の先生は是非、私達と一緒に屋根瓦塾を作っていきま
せんか?


地域の基幹病院としてCommon Diseaseから稀なものまで多様な疾患を豊富に経験できます
39診療を標榜する高度総合医療施設として京都・伏見の地で医療活動を行っています。国から各専門医療施設に指定されおり、エイズ診療、国際医療協力の機能も付与されております。また三次救急医療施設でもあります。高度先進医療を実施するとともに、その基礎となる臨床研究、質の高い医療を提供できる医療従事者の育成、政策医療分野に関する情報発信など当院に与えられた使命を果たしています。地域の診療所・病院との連携を強化し、地域医療の発展に貢献しています。
臨床研修屋根瓦塾KYOTO
ー2025夏ーを開催!
7月5日(土)に臨床研修屋根瓦塾KYOTO ―2025夏― を開催しました。参加者が数年後にスタッフ医になる「屋根瓦方式」によって、受講者のみならずスタッフ医も「教えることで、より深く学ぶことができる」ことが屋根瓦塾の大きな特徴です。
今回も“明日の臨床で使えるような実践的な手技や知識、考え方を身に付ける”ことを目標に、若手スタッフ医が「外傷初期診療」「病棟急変対応」「腰椎穿刺」「頻脈」をテーマにシミュレーションシナリオを準備し、参加研修医はシミュレーターなどを用いた体験を通して、超実践的な技術の習得を図りました。
また、参加者特典の府医オリジナルスクラブを参加研修医、スタッフ医全員が着用し、一体感のある研修会となりました。
所属施設の異なる研修医とグループを作って取り組むことも屋根瓦塾の特徴の一つで、「参加者同士の意見交換からも学びが深まった」という声を多数いただいたほか、「間違っていい環境があり、主体的に参加できた」「自信が持てるようになった」「漠然とした理解を具体的な対応方法として整理できた」など参加研修医か
ら高い評価をいただきました。
堀田亘馬先生を統括リーダーとして、実践的かつ臨場感のあるレクチャーをいただいたスタッフ医の先生方に御礼申し上げます。

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